HEARTLAND日記

2004年4月

 

3月18日に、カルチベートカンパニーの野口理佐子さんの提案から始まった「アースハート」も、日を追うごとに賛同してくださる方々が増えた。エリア内のショップ関連の方、クリエーターの方々、環境関連の方々、リストは4月末現在で40数名の方々に支えられている。これからは各プロジェクトの内容をつめていったり、開催基盤を整えたりという段階に入っていく。

 

4/30(火)午後5時 インディーズムービーフェスティバルの西村秀雄さん

自主映画会の甲子園と言われている「インディーズムービーフェスティバル」を主宰している西村さんと会う。彼とは雑誌『@SHIBUYA PPP』を始めた頃からのおつき合いだ。考え方や価値観や感受性が近しいので、いろいろなことを率直に話せる仲なのが嬉しい。「アースハート」についてもいろいろとアドバイスを受ける。

4/30(火)午後4時半 フラワーショップ「葉花」

牧さんとのミーティングの帰り道、NHK下の井の頭通りの交差点から商店街に入ったあたりで、いい感じの花屋があることに気付いた。中に入って見ると、センスよく作られたフラワーアレンジメントが、シンプルでゆったりとした自然な感じの空間の中に並べられている。持っていた「アースハート」企画書をお見せしながら話していく。対応してくれた足立さんは理解を示してくれて、「アースハート」として念願のひとつだった花屋さんとの共同作業がひとつ可能になった。この花谷さんの名前は「葉花」。ハバナと読む。

4/30(火)午後3時 千駄ヶ谷の牧鉄馬さんの事務所に行く

写真家の瀧本さんから紹介していただいたグラフィックデザイナーで、映像作家で、CM演出家でもある牧さんと会う。彼はこれから全世界で放映されるパイオニアの企業CMのディレクションをしたし、タグボートの岡さんとは高齢者マンション企業のCMも作っている。今、注目の広告制作者なのだ。「アースハート」には最初から深い理解を示してくれて、とても根本的な会話ができた。

4/30(火)午前11時 JT社会環境推進室

「アースハート」の件で、初めて大きな企業の関連窓口の人と会った。主旨などを説明する。

4/30(火)午前6時 10th ECO JOGING

「砂糖顔」改善のために始めたジョギングが、ゴミを拾うエコ・ジョギングになり、今は代々木公園の朝の光と空気を吸うことが、いちばんのモチベーションになっている。朝8時前の“あの光り”を浴びたいと思うと、起き上がって、外に出る樹になる。

4/28(水)午後8時 eaにて

代官山でセンスのいいグラフィックデザイン+クリエイティブ活動を展開しているeaのセキユリヲさんと会う。セキさんのシャープでミニマムだけど暖かみのあるオーガニックなデザインが好きで、何度か仕事をご一緒している。事務所に着いて「アースハート」の説明をし始めるとセキさんは、同じ事務所のグラフィックデザイナーのワタナベさん、辻さん、インテリアデザインをしている清水さんを呼んでくれて、全員でミーティングする。セキさんはだいたいの説明でプロジェクトの主旨を正確に把握してくれて、すぐに具体的な提案をしてくれる。清水さんも環境関連のネットワークや知識をすでにお持ちで、いろいろとアイデアを出してくれたり、アドバイスをしてくれた。

4/28(水)午後4時 三浦さんとグリーンパスポート打ち合わせ

グリーンパスポートの素案をデザイナーの三浦さんと作りはじめている。

4/28(水)午前7時 9th ECO JOGING

NHK脇のツツジの植え込みがきれいだった。

4/26(月)午後1時 「TUGBOAT岡さんと会う」

今の広告クリエイティブ業界で最も注目を集めているクリエイティブチームのひとつが「TUGBOAT」であることは、広告に興味や関心がある人ならば異論がないだろう。その創設メンバーで代表的存在なのが岡康道さんだ。彼とのおつきあいは長い。1993年、『コマーシャルフォト』という広告業界雑誌があり、そこでの連載記事「クリエーターズスピリット」の取材以来だから、もう10年以上になる。「クリエーターズスピリット」は、自分がもっとも興味ある広告クリエーターを取り上げ、ご本人および周辺取材を行い、彼等の制作作業とその創造性の本質を浮かび上がらせる作業だった。丁寧ないい仕事だったせいか、この時に取材させてもらた方々とは今でも時々会って、話などさせていただく関係になっている。岡さんともそうで、自分が関わっている雑誌に登場してもらったりして、時折会っては、近況報告などさせてもらっている。今回は「アースハート」のことで事務所にお邪魔した。タグボートの事務所は表参道駅を降りて、スパイラルビルのすぐ手前、まさに青山の中心地にある。岡さんは最初に会った時から印象が変わらない。11年前、広告クリエーターとしてブレイクする寸前に会った時も、その後、話題作を連発し、トップクリエーターとなり、電通を退社して仲間たち4人でタグボートを創設し大成功しても、どこかしっとり系の和風な雰囲気が漂う。藤沢周平や山本周五郎の小説の読後感みたいなものが印象として残る。などと岡さんのことを書いていくと長くなってしまうのですが、彼は「アースハート」に快く賛同してくれた。ただ自分たちがやっている作業が、直接主旨につながるものではないので、どういう形で催事を組むかは考えなくてはいけないね、という話だった。

4/26(月)午前6時半

8th ECO JOGING。今日は、NHK前の植え込みの周りに、大量のゴミが放置されていた。週末にここで飲食していった人たちのものだろう。植え込みがちょうどベンチ代わりになり、よくここに人々が座っている。大きな30Lのゴミ袋が、半分も行かないにいっぱいになる。代々木公園の縁にも大量の空き缶の山がある。そういうものを見ると素朴に「ゴミって何なのだろう?」と考えてしまう。ゴミは環境の中でまず目立つ。それは「反自然」であるということ。自然は、全て循環の中にある。陽光、大気、水、土、その中での成長。しかしゴミはそれらの循環から切り離されている。循環サイクルにつながっていない。それは現代文明の覇者である先進国の主要な価値観でもあるのだろう。大きな循環サイクルと切り離され単独で存在していることは、某超大国の政権のことを思い浮かばせる。その大統領が主導する政策が単独行動主義(unilateralism/ユニラテラリズム)と言われていることともつながっていく。とするならば彼と彼の政権は、ゴミのような政権ということになるのだろうか?代々木公園の中はきれいだった。たぶん週末のゴミ拾いの方々が掃除していってくれたからだろう。今日は、リバーサルフィルムを入れたカメラを持っていった。どうもデジカメには馴染めないが、これだと何枚かシャッターを切れた。

4/24(土)午前11時

千駄ヶ谷にあるインテリア雑貨ショップ「ナノバクテリウム」のオーナーで、都会型パーマカルチャーを実践している松澤伸樹さんと会う。ショップはとてもオシャレで、広々としていて、外光なども入る開放的な作り。とても可愛い犬が数匹。これも嬉しい。ショップ近くの松澤さんの自宅となっているマンション訪ねる。11階にあり、広いベランダがある。ベランダには多くの植物が植えられ、ハーブなどが栽培されている。ここからの眺めが素晴らしい。松澤さんは、明治神宮から赤坂御所方面つながる緑の屋上の道を計画している。一緒にいろいろと進めていけたらと思う。

4/20(水)午前7時

7th ECO JOGING。今朝は街にゴミが少ないように感じた。NHK前の並木が驚異的にきれい。大きく広げた枝に新緑が生え、そこに斜めの光が射し影が落ちる。朝(と夕方)の斜光は、空間を大きく感じさせてくれる。公園の中のゴミも少ない。今日は自分が好きな、公園奥のプラタナス林を重点的にゴミ拾いする。早朝の寒気がかなり薄くなってきたので、もっと早い時間のeco jogingをやってみようかと思う。日の出の時間帯は、鳥たちがいっせいに鳴き始める「バードシャワー」が聞けると、前にネイチャーウォークをした時、インタープリターの人が言っていた。ゴミは少ないようでも、新聞紙サイズのゴミ袋が2つ、いっぱいになった。

4/19(火)

最近、たまたまテレビを見ると、驚異的な番組に出会うことが多い。NHKスペシャルの『里山』関連の番組。琵琶湖のほとりの村の四季を、驚く程豊かなドラマ性で見せてくれた撮影と演出と登場人物+動物たちの見事さ。心底驚いたし、あまりに面白くて、声を出して笑ってしまった。この撮影をしていたのが今森光彦さんであることを知り、アマゾンで調べて本を買った(『里山を歩こう』)。次もNHKスペシャルで『地球大進化-人類への旅』。地球はこれまでに巨大隕石の落下による壊滅を最大規模で8回経験して来ている。その時は、地球の地表のすべてが3000度の高熱(ほぼ太陽と同じような状態)で包まれ、それが1年間も続いた。当然海などというものは蒸発してしまってない。3000度の熱で1年間焼かれて生存する生命などいない。しかし生命の糸は途絶えなかった。生命体は、熱から逃れ地下に潜った。そして熱が届かない地下1000mの地帯で仮死状態となった(その頃の微生物を現在発掘すると、彼等はまた活発に動き出す、生き返る)。海が完全になくなっても、巨大な焼け石のような状態になっても、地球は死ななかった。すごい。3番目は、日曜夜の『地球号-アマゾンの森林を耕す』。最近も四国の1.3倍の面積の熱帯雨林が消失したとニュースが伝えていた。しかしアマゾンに住む日系の方が、森林農業を開発した。木を切らずに、そこに多様な木の実を実らせ、工場を隣接して建設し、すぐにジュースなどの生産物として売るという手法の開発だ。これによってアマゾンの人たちは木を切らなくなった。ジャングルが多様な森の姿のまま、高い生産性を上げられるようになった。こういう技術開発は本当に貴重だと思う。

*小熊千佳子さんが作ってくれた「アースハート」の3色マークを、企画書などに使わせてもらいはじめる。

*三浦巌さんと打ち合わせし、「アースハート」企画書の整備や、「グリーンパスポート」の初期制作を開始する。

*ネット上で風力発電のサイトを制作している久保さんと知り合う。メールのやり取りをしながら、「風車フォトブック」の展示を「アースハート」でできないかと、可能性を探っている。

*渋谷区緑化推進室の方にいただいてきた資料(「保護樹木と保存樹林の基準」と「春の小川水系の地図」)をWEB上にアップした。

4/16(金)午前8時

以前から親交があった現代美術家の宮島達男さんからメールあり。「アースハート」について電話とファックスでやりとりをしていた。賛同してくださる。宮島さんは今、5月にローマで行われる個展の準備と、11月までに韓国の美術館に納品する作品制作で超多忙とのこと。その最中に対応してくださったことに感謝。

4/15(木)午後2時

写真家の瀧本幹也さんと会う。今の広告業界を代表するような仕事をいくつもされているのに、いつも飾らない素朴な人となり。TVCM作品集を見せてもらう。特に印象的だったのが、仲間由紀恵と三輪明日美が出ている携帯電話のCM、竹野内豊が出ている携帯電話のCM(沖縄篇)、ゴジラ松井が出ているサントリービール、パイオニアの企業CM。どれもリアルで、笑えて、共感できて、心にしみてくる。「アースハート」の件もご理解してくれ、モンゴルで撮ってきたモノクロの人物写真の展示を提案してくれる。他にもプロジェクトを推進していく上で有益なアイデアを出してくれた。

4/15(木)午前7時

6th, ECO JOGING。前日は夕方から冷たい雨が降り続いた。でも眠る前に“明日は晴れるだろう”と思った。目覚めると新鮮な光で空間が満ちていた。外に出て、東急文化村の並木が、緑色に光っていた。ひとつの奇跡が起きているようで驚いた。代々木公園に入ると、木々は、前日の雨でほこりが洗い流され、たっぷりと水分を含んだ葉の緑が信じがたいほどの色彩で輝いていた。陽光は樹影の中を光線となって走っている。これが代々木公園の姿なのか。今まで知っていた昼間の、普通の顔つきとはまったく違う。自然の息吹に包まれた表情がそこにあった。その中では走ったりするのがもったいなくて、多くの樹木が発散するエッセンスを吸い込みながら、ゆっくりと歩いた。。三寒四温と言うが、その自然のリズムの中で、植物は急速に伸びている。そういう命の運動を活発に繰り広げながら、森は静かだった。

ゴミも拾った。今日は東京都の30リットルの大きなゴミ袋を持っていった。いっぱいになった。今回、気付いたのは、なぜゴミがゴミなのかということ。コンビニ袋、コーフィーショップの紙コップ、たばこのパッケージ、こういったものは公園の中でとても目立つ。なぜなのか?それはそれらが白いからだ。自然の中には漂泊されたような白いものがない。人工的な白さが自然の中で醜悪に目立つ。白いものが自然景観の中で醜く見えるというのは、何か象徴的な気がした。今読んでいる本『食生活が人生を変える』の中にも、白飯が体に良くないことが何度も書いてあった。

4/13(火)午後7時

メディアゾーンの粒針さんのご紹介で、冒険家の九里徳泰(くのりのりやす)さんと会う。世界80カ国を踏破し、大きな賞も受賞している九里さんだが、中央大学助教授の立場もあり、カメラマンでもあり、服飾関係の仕事もし、サザンオールスターズと同じプロダクションに所属しながらラジオ番組などに出演もする。地元藤沢ではサーフィンしては、ビールを飲む。非常に幅広く、人間味あふれ、繊細な方だった。とても寒い日だったけど、彼はアロハシャツを着ていた。持っていた携帯電話、付けていた腕時計。ひとつひとつが世界を飛び回る冒険家の日常を刻印していて、面白い。「アースハート」プロジェクトが“街祭り”であること、“1対1の直接対話”を重視していることに着目してくれる。

九里「環境や自然のことは、どうしても参加型になる。物事や人や社会に対してにコミットメントしていく形になる。それは今の傍観者的立場にいる方がかっこいいというような風潮や、ひきこもりとかの対極にあることですよね」

九里「有名であることの意味が何なのか?たとえばエベレストという世界で最も有名な山がある。そこには年間700人以上の登山家が挑戦する。しかしその隣の山に上ろうとする登山家はその半分以下です。子供たちと山に登った時に、たくさんの山の名前を地理の先生のように言えるようになることが重要なのではなくて、今日登った山の名前を知らなくても、“あの山はよかった”という強い思いが残ることが大切なんです」

4/13(火)午前11時

渋谷区役所緑化推進室の土屋さんと会い、様々な資料を見せていただく。大判の渋谷区地図に直接書き込まれた「保存樹木と保護樹林」のデータを手帳に書き写す。膨大な量なので1回では終わらない。半分程写して、残りは次回とする

4/11(日)午前7時

今日は前日に午睡ができたせいもあって、夜明け前に目が覚めた。ちょっと作業をした後、5th, ECO JOGINGに出る。土曜日の人出が多かったのか、NHKの前の植え込みに多くのゴミが散乱している。公園に入る。新たに生えてきた柔らかな芽を踏まないように注意して土の部分には入る。しかし今日のエコジョギングは収穫が多かった。まず日曜に初めて走ったので、日曜の朝に代々木公園に来る人たちに会えた。森の中でゴミを拾っていると「おはようございます」と大きな挨拶が聞こえた。顔を向けるとその人は女性で、手には大きなゴミ袋を持っていた。彼女の後ろには、同じような感じでゴミを拾う人たちがいた。たぶん週末の朝に代々木公園を美化している人たちだろう。僕はRPGの宣伝文句でよく見かける「新たな冒険。仲間たちとの出会い」というような言葉を思い出した。RPGはプログラムされた仮想の世界の出来事だが、こちらは現実世界の事実だ。しばらくすると、とても大きな犬が散歩しているのに出会った。とても大人しそうないい犬だ。また先で彼等にあった。ゆったり散歩していたので、「ちょっと犬に触ってみてもいいですか?」と話しかけた。彼等はドイツ人の母娘で、五反田に住んでいた。週末に犬のために車で代々木公園に来る。犬は6歳で青年の域だ。「あなたも犬を飼っているのか?」と聞かれたので、「僕は犬が好きだが、小さなアパートに住んでいるので飼うことができない」と答えた。また来週、見かけたら話をしましょうと言って別れた。こういう愉しみもある。そして最近ゴミを拾うことが、無上の喜びに思えてきた。それだけで充足している。ゴミはたくさん落ちている。しかしゴミを捨てている人たちは悪意でしているわけではない。自覚なく捨てている。だから彼等はゴミを捨てる仲間を自覚的に作ることはないだろう。しかし僕らはゴミを捨てない(あるいはゴミを拾う仲間)を自覚的に作っていく。ある意志を持ったっ人たちの比率が、徐々に増えていく。この勢力バランスゲームは、僕らの方に分がある。そう思った。

4/10(土)午後6時

今日の夕方、WEBに載せるNPO響のデータを作っていた時に、ふっと思った。「自分の役目は街の世話人であり、アースハート関連のみなさんの存在や活動をアピールする広報係なんだ」と。この単純な事実は、妙に自分を納得させてくれるものを持っていた。

4/10(土)午後1時半

明治神宮の森をベースに活動するNPO響の方と打ち合わせ。明治神宮の森は、渋谷エリアにとって非常に重要な存在であり、環境資源だ。またわずか80年間で人工的に作られた森だということも、とても大切なことを含んでいる。だからそこで活動している青年組織である「NPO響」さんの存在も僕にとってはとても大切だ。「アースハート」のことをご説明し、どういう関わり合いができるかを話し合う。素敵なアイデアもいただいたりしたので、少しずつ実践し、形にしていきたい。ミーティング後、建物の裏にある桜の巨木にご挨拶をする。雑誌『@SHIBUYA PPP』の「植林対談」の連載で、いつもこの桜の木の前で、定点観測的な写真撮影を行っている。桜の巨木は池のほとりに立っている。樹肌に触り、梢を見上げる。その後ろには枝垂れ桜の樹があり、まだ桜の花をたくさん咲かせていた。響きのスタッフの方が、「枝垂れ桜の花びらは、ハートの形」と言う。たしかにその淡いピンクの花びらは、やや縦長のハート型をしていた。

夜、横浜で開かれる小林響さんの写真展のオープニングに行く。

4/9(金)午前7時

4th, ECO JOGING。NHK前に落ちていたビニール容器を拾うと、そこになめくじがいた。久しぶりになめくじを見た。可愛いと思う。今日はデジカメを持って出た。でも立ち止まり電気のスイッチを入れて撮影するという行為が、どうもエコジョギングと馴染まず、結局ほとんど撮影しなかった。落ちているゴミにレンズを向ける気にはならない。代々木公園の奥に竹林があるのを発見。通勤の男性の姿を追っていったら、知らなかったチップ道があるのも知った。犬の散歩にくる人たちとも、少しずつ挨拶ができるようになる。そしてこんなことを想った。もしこの代々木公園をひとまわりして、ほとんど目につくゴミが落ちていなかったとする。ゴミゼロデー。その日が来たとしたら、それは単にゴミが落ちていないという現象を意味するのではなくて、環境を美化する、ゴミを落とさない放置しない持って帰るあるいは片付けるという心の勝利の日を意味するのだということ。以前観た映画『ガンジー』(リチャード・アッテンボロー監督)の中に、マハトマと言われていたガンジーがインドの内戦に心をいためて「この内戦が終わるまで、私は食事をしない」と断食に入るシーンがあった。しかし戦火は止まず、ガンジーは食事を取らない。そしてある日、カメラは街に戦火が絶えた日の朝を映す。衰弱したガンジーのベッドの枕元に、対立する部隊のリーダー二人がやってきて、ガンジーに「マハトマ、戦火は止みました。街は静かです」と言う。ガンジーは「そうですか。じゃあ私に軽い食事を持ってきてください」と言う。これはガンジーの個人的な非暴力の力が、事態を平和の方へ和解の方へ押し進めた事例だ。そういうことを想像した。ゴミゼロデーを迎えた代々木公園の朝。それは素晴らしく力強く未来的で美しい。

4/8(木)午後3時

イラストレーターの牧かほりさんが来る。彼女は、とても深い視点と感受性で、人と自然と動物を描く。ただ写実的に美的に描くのではなく、それらが深い自然の力の中から生まれ、循環していく様を、説明的にではなく、美しい色彩とダイナミックで生命観あふれる線で描く。僕は彼女のそうした絵がとても好きで、いっしょに雑誌のページを作った。だから今回の「アースハート」でもぜひ一緒に何かやりたくて、お声をかけた。プロジェクト参加を了解してくれる。彼女は、最近、カンボジアとタイに行ってきたことを話してくれた。

牧「カンボジアのアンコールワットの遺跡に行ってきたんだけど、その周辺のシェムリアープという街に生育していた樹木がとても豊かで驚いたんです。抱えるような幹で、大きな枝を広げた大木が列をなしているんです」

4/8(木)午後1時

現代美術家・宮島達男さんの「時の蘇生 柿ノ木プロジェクト」のDVDなどを発売している粒針さんがくる。様々話ながら、プロジェクト参加に賛同してくれる。「時の蘇生 柿ノ木プロジェクト」は、長崎で被爆したが生き残った柿ノ木の苗を世界各地に植樹しているプロジェクトだ。粒針さんは今年、ローマとロンドンに植樹に行った。その時ロンドンに「ロビン・フッドの森」があり、そこには絵本に出てくるような老大木がずらりと並んでいて感動した、ということを話してくれた。

4/7(水)午後1時

CHAJIN(茶人)さん来る。

4/7(水)午前7時

4th, ECO JOGING。

4/6(水)午後2時

渋谷にある自然探検プログラムを企画運営している「ビーネイチャースクール」代表の森雅浩さんと会う。宮益坂の裏にある美竹ビル内にある。ドアを開けると広々としたミーティングスペースがあり、窓辺には樹木などが置かれNATURE FEELINGがあって快適だ。「アースハート」トークをする。賛同してくださる。森さんたちは環境プログラムのプロなので、いろいろな共同作業ができればいいと思う。

4/6(水)午後4時

部屋を借りているのが大久保ビルの401号室。大家さんの大久保さんは、同じビルの1階で大久保商店を営み、2階に住んでいらっしゃる。1階の店鋪へ家賃を持っていった時のこと。「大久保さんは、消耗品などを、区内の学校などに納品されているんですよね」と聞くと、「うちは120年以上の歴史があって、以前は青山で大八車を作っていました。あれがその大八車の車輪です」と、店の脇を指差しました。するとそこには木でできた大きな車輪がありました。私は「大八車」という言葉は聞いたことがありましたが、実物を見るのは初めてでした。「NHKの美術部の方が打ってくださいと見えましたが、手放せませんでした」と大久保さん。ご縁があってたまたま部屋を借りた大家さんが、渋谷・青山の120年以上の歴史に連なっていることを知り、その偶然に驚くと同時に、嬉しく思いました。

4/5(月)午後9時

3th, ECO JOGING。遅めのスタート。消費者金融会社が街頭で配っているティッシュの小さなビニール袋が捨てられているのが目につく。そういう小さなものも拾う。元NY市町のジュリアーノ氏の「破れ窓理論(ヒビがっ入った窓を放置しておくと、街全体が荒れていくこと)」だ。今回気付いたのは、ゴミを拾う動作が、健康にとてもいいこと。農作業に近い感じ。持続的緩運動で、発刊作用が強い。走って、腰をかがめ、ゴミを拾っていると、汗がどっと出てくる。これは嬉しい発見だった。それと今日は足を伸ばして、原宿方面の奥まで行くと、そこには野鳥のサンクチュアリ(保護区画)があり、小さな滝がせせらぎの音を立てていた。ただし、この方面には柵があり、ちょうど風の向きがこちら向きなのか、柵の手前がゴミ溜まりになっている。表通り近くのエリアに戻ると、直射日光を受けて黄色化した葉が、大木の枝から離れ、風に揺れながら落ちていた。映画のシーンのようなというか、それ以上に美しい“自然の映像作品”を見た。このエリアには、アスファルト鋪装された道とは別に、もう少しワイルドに、チップを敷いた彎曲した道がある。これが足裏の感触もよく、走っていて気持ちがいい。

4/5(月)午後4時

映画監督&映像作家&ピースアクティビスト中野裕之さんと会う。札幌撮影から帰り、ハワイとパリへロケに行く超多忙スケジュールの合間に時間を取ってくださった。編集スタジオにて、「アースハート」のご説明をする。賛同してくださる。平和活動の有力な希望の星である木内鶴彦さんの太陽レーザーゴミ処理システムの進ちょく状況について聞く。中野さんは木内さんの活動を支えているメンバーの一人だ。それから中野さんのピース系の映像作品『OPINIONS』がDVD化され、レンタルが開始されたことを聞いて喜ぶ。「アースハート」についてのアドバイスもいただく。

4/5(月)午後5時

いっしょに雑誌『@SHIBUYA PPP』を立ち上げたグラフィックデザイナーの柳澤健祐さんと会う。「アースハート」の話をする。賛同してくれる。柳澤さんは自分で写真を撮るので、そういう参加もいいですねと話す。渋谷区の地図をデータでいただく。

4/3(土)午前8時

朝、第2回目の「エコ・ジョギング」に出る。今回は袋を2枚持つ。前回分別のことが気になった。ビン.缶と燃えるゴミを分別しながら拾う。外に出て、走り出す。宇田川町の街は、それほどちらかっていない。ゴミ出しもよく守られている。民度が高い感じがする。でも細い裏道に入り、たまり場みたいなところには、コーヒー牛乳のパックや空き缶が散乱している。来街者がここで座って食事をして捨てていったのだろう。それらをまず拾う。前回は拾う範囲が代々木公園の中だけだったが、今日はその途中から始めていく。NHK前のきれいな道の上にも、空き缶や、たばこのゴミが落ちている。こうして町なかでゴミを拾っていたら、先日見かけた渋谷駅前でのゴミ拾いキャンペーンを思い出した。スタッフは中年男性が中心で、渋谷区役所のたすきをかけていた。するとどうしても、街行く人は彼等を“あっち側の人”だと認識する。区役所の人だからやっている。自分とは関係がない。というふうに意識の中で展開する。しかし自分のようにふつうのジョガーがゴミ拾いをしていたらインパクトがあるだろう。

代々木公園に近づく。まだ桜の花見の時期だ。今日も陣地取りに人が出ている。彼等は自分たちの陣地を取ることには熱心でも、すぐその横に落ちている空き缶を拾うことはしない。公園内に入る。鋪道の周りには花見のゴミがたくさん散乱している。それを見た時、“こりゃだめだ。いくら拾っても無駄だ。今日はゴミ拾いはやめて走るだけにしよう”と思った。でも散乱していない場所で目に付いたゴミを拾おうと思い返す。今の地球環境問題は、人と自然の対立なのではなく、人間の心の葛藤の現実化なのだ。ある種の人の心と、また違った傾向の人の心との、せめぎ合いだ。それは一人の人の心の中に全て含まれている葛藤であり、せめぎ合いであり、選択なのだ。などと思いつつ走っていると、けやきの木の下に、小さな白い花が群生しているのを発見した。桜もいいけど、こっちもきれいだよ。今日はもう少し先まで走れる。レンタル自転車センターの先に、プラタナスの林があった。整備されている噴水広場より、こちらの方が自然の趣が残っていて魅力的だ。収穫の多い、第2回目「エコ・ジョギング」だった。

4/2(金)午後4時

雑誌『QRANK』のアートディレクターなどをしているグラフィックデザイナーの三浦巌さんと会う。徹底したアートディレクションと、きめ細かな対応、雑誌がどうあるべきかを考えてデザインする大局観などで、とても信頼している人だ。「アースハート」の主旨を話し、賛同してくれる。彼は多くの優れたカメラマンと知り合いなので、これから三浦さんからの波紋が広がっていくことと思う。

同日、午後5時半

チャリンコで新宿初台の新国立劇場に向かって走る。山手通りを1本。そこで上演されている野田秀樹さんの戯曲『透明人間の蒸気』の衣装制作を担当している永田光枝さんと会うためだ。新国立劇場へ行くのは初めてだった。建物がなんとも言えず凄い。国家の威厳あふれる文化の殿堂。エスタブリッシュされたその迫力。新鮮な刺激だ。待ち合わせは地下1階の楽屋前。永田さんがいつもの笑顔で迎えてくれる。いっしょに楽屋に向かう。劇場の地下は要塞の秘密迷路のようで、どこをどう歩いているか分からない。しかしいつしか楽屋に着く。前を歩いている人を指して永田さんが言う。「彼が主役の阿部サダヲさん」。通路にはずらりと舞台で使われている衣装が並んでいる。衣装デザインは日比野克彦さんで、新聞紙が使われている。野田演劇は役者が非常に激しく動く。それに耐える新聞紙衣装を完成させ、なおかつ1回舞台が終わると破損してしまう衣装を修繕する。アトリエ永田では、5人のスタッフがほとんど1ヶ月間布団で寝たことがない程のハードワークで、この舞台を支えていると言う。通路に設置されているベンチに座り「アースハート」ミーティングを持たせてもらう。そこを住友花子役の篠崎はるくさんが通る。篠崎さんは永田さんのが着ている服を誉めていく。さらには野田秀樹さんが通りかかり、永田さんに声をかけていく。永田さんは「アースハート」に興味を示してくれて、いろいろとできるといいね、ということになった。女子十二楽坊の日本公演や、TOKIO、V6などの秋の公演など、スケジュールがぎっしり詰まっている永田さんなのだが、そこを調整して、参加してくれるとのことだ。

打ち合わせの後、せっかくなので、公演を見ていくことにする。当日チケットは完売しているので、キャンセル待ちで並ぶ。永田さんはここまでつき合ってくれている。チケットが手に入るか分からなかったが、5分程並ぶと、配券が始まり、S席の券が入手できた。永田さんは僕が無事入り口を通過してくれるまで見守り、手を振って楽屋へ戻った。『透明人間の蒸気』は本格的であり、小劇場出身らしい革新性と機動性と現代性を持った舞台だった。僕は野田演劇と言うと、言葉遊びと、動き回る役者達と、観念的な構成と思っていたが、今回の『透明人間』は、美術と、役者が素晴らしく、その静かな余韻が非常に印象的だった。物語は鳥取砂丘で展開される。ステージの上には段ボールが敷き詰められている。その上を役者が歩くと、段ボールが靴の形に凹み、ちょうど砂丘の足跡になる。効果的な照明効果もあって、演劇は、とても純度の高い抽象性を形作っていた。ラスト、登場人物たちは、手前から奥に向かって、ゆっくりと並んで歩いていく。主役の二人だけが、舞台中央に残されている。やがて彼等も立ち上がり、舞台の奥へと消えていく。そこは砂丘なのだが、まるで粉雪が降り積もったような聖なる明るさでみたされていた。宮沢りえさんもよかったが、僕にとってはやっぱり阿部サダヲさんが最高で、意外だったのは高橋由美子さんがすごく演劇的にうまかったことだった。いつもは時代劇の悪役で見かける六平直政さんが抜群の演劇センスと力量を持っていることにも驚かされた。脇を固める手塚とおるさんたちも完璧なアンサンブルだった。すいません、つい書き込んでしまいました。

4/2(金)

夜、中目黒の「カメロクショッピングセンター」に、マンフュージョンシステム代表の関野氏を訪ねる。「時代が2004年の春分の日を境に大きく変わった。それ以前は、個人の自由や成功による力などが協調されていたが、これからは人のために働くとか、社会に貢献するという人がのびる時代だ」ということなどを聞く。目黒川沿いの粗桜がきれいだった。

4/1(木)

そろそろ「アースハート」もグラフィックデザインの力を導入する時で、誰に話をしたらいいか考えた。このプロジェクトは、女性の感受性や現実感覚、優しさなどが表現される場であってほしい。このプロジェクトの主旨をよく理解してくれて、積極的に関わってくれる人。小熊千佳子さんのことを思い浮かべた。何日か、考えた結果、小熊さんに連絡をし、打ち合わせをすることにした。

ミーティングは夕方4時。日がかなり伸びて、外はまだ明るい。僕は前の打ち合わせから戻って来て、ビルの階段を上ろうとした。そこに自転車に乗った小熊さんが来た。彼女もチャリンカーであるらしい。事務所でプロジェクトのことを話す。彼女との接点は多く、彼女自身も、こういうことに興味があり、最近の作業も自然に関わるような事柄が多いという。お父さんも、現在千葉県千倉に拠点を構えようとしていて、そこで家庭農園をやっているとのこと。お願いしたい作業の進め方、その他、種々確認をさせてもらった。