川内倫子さん 写真家

 

雑誌「@SHIBUYA PPP」をやっていた時のこと。

若い男性編集スタッフが、僕に、「あんじさんというモデルが、今、人気です。ページを作りましょう」と提案してきました。

彼女のことは何も知りませんでした。周囲のスタッフに聞いてみると、なるほどそれは事実らしいので、

ではどうぞやってみてください、と彼にまかせました。

 

取材と撮影が行われ、写真が上がってきました。

そのベタ(スリーブがそのまま紙焼きされたシート)を見て、僕は驚きました。

写真が圧倒的に素晴らしかったからです。

その写真を撮った人、川内倫子さんという名前もその時初めて知りました。

まだ川内さんはほとんど作品らしいものを持っていない時でしたが、写真はすでに彼女らしさが全開で、

僕は、当初2ページしか予定していなかったあんじさんの記事を、8ページほどに増やし、

表紙にも使い、裏表紙にも別カットを持っていきました。

 

次の号でも、あんじさんと川内さんのページは作られました。

 

 

渋谷のミニシアター「シネ・アミューズ」特集では、

ここで上映された映画『風花』関連記事で、

浅野忠信さん取材を行いました。

彼は多忙で、韓国釜山の映画祭まで来てくれるなら、時間を取りますということだったので、

その通りにしました。

撮影は川内さん。宿泊ホテル近くの海岸で、海鳥が群れています。

空中にカッパえびせんを蒔くと、飛来してくるということを、前日の散歩で体験していたので、

それを浅野さんにやっていただきました。

 

 

これらの撮影をお願いしているうちに、

彼女は写真集を数冊発表し、大きく飛躍し、

「@SHIBUYA PPP」のADだった柳澤さんと組んで、

大ベストセラーとなった小説『世界の中心で愛をさけぶ』の表紙もつくったのでした。