麿赤兒   

   Photo:TAKA

 日本演劇界の鬼才、唐十郎率いる「状況劇場」。その初期、女性の体内を模した赤テントの中で、彼の演劇を体現したひとりが麿さんだった。彼に会うことは、自分にとっては特別な機会のひとつだった。取材の場所は、彼が主催する舞踏集団「大駱駝艦」の稽古場がある吉祥寺。インタビューは、第一ホテル2階にあったカフェで行われた。吉祥寺のおばさん達に混じって、麿サンがいる。

 彼のいでたちは、写真からも分かる通りに、とてもファッショナブルで、ダンディーだった。舞踏家でもあるので、慎重に関係のない存在感や迫力がある。キャメルを燻らしながら、話し出す。彼の出演映画でなじみのしわがれた声が聞こえてくる。カフェで頼んだ飲み物は、エスプレッソのダブル。「あなた、シングルじゃあ、これっぽっちしか入っていませんよ」。